
江戸川区小岩の弁護士事務所
刑事事件
1 はじめに
刑事事件の当事者になられた場合には,加害者側であろうと被害者側であろうと,お一人で問題を抱え込むことは大変なご負担となるかと思いますので,ぜひ弁護士にご相談ください。
弁護士は,加害者の弁護人となって早期の釈放や不起訴処分・無罪判決などを求める活動をすることができたり,被害者の代理人となって加害者側と示談交渉したりすることができます。
以下では,刑事手続の流れや弁護人の活動についてご説明します。
2 刑事手続の流れ
一般的な刑事事件の手続の流れとしては,事件発生→捜査→公訴提起→公判となります。刑事手続は,憲法や刑法や刑事訴訟法などの法律の定めに従って,犯罪の事実を明らかにし,犯罪者を適切に処罰するための手続です。
刑事事件と別に民事事件もありますが,例えば傷害事件の場合には,刑事事件としては,刑法上の傷害罪として刑事処分を受ける場合があり,他方で,ケガの治療費や慰謝料などの損害賠償請求については民事事件として処理されることになります。
刑事事件では,事件の真相を明らかにする要請がある一方で,被疑者(犯人と疑われる起訴される前の者)・被告人(起訴された者)の人権にも配慮されなければなりませんので,刑事事件のルールは,刑法や刑事訴訟法などに詳しく定められており,それらに従って適切に事件が処理されることが求められます。
どのような犯罪行為を処罰するのか,どのような刑罰を科すのかなどについては刑法などに定められています。例えば,詐欺罪(刑法246条1項)の場合,「人を欺いて財物を交付させた者は,10年以下の懲役に処する」と規定されています。
捜査や公判に関することなどについては,刑事訴訟法などに定められています。例えば,現行犯逮捕について,「現行犯人は,何人でも,逮捕状なくしてこれを逮捕することができる」などと規定されています。
何らかの事件の発生後,職務質問や被害者からの被害届・告訴などを端緒として,捜査機関が犯罪があると思料したときに,犯人を発見・確保し,証拠を収集・保全するための捜査が行われます(刑事訴訟法189条2項)。具体的には,逮捕・取調べ・捜索などがあります。
捜査が行われると,検察官に事件が送致されて検察官が事件を処理し,起訴か不起訴かを決めることになります。起訴(公訴の提起)とは,国家の刑罰権の発動を求めて,審理および判決を裁判所に求めることをいい,裁判所に対して起訴状が提出されます(256条1項)。
起訴されると,事件は裁判所での審理の段階になり,公開の法廷で被告人・弁護人・検察官が主張立証などをして進められます。具体的な審理手続としては,冒頭手続,証拠調べ,弁論および判決の審理手続などがあります。
弁護人は,公訴を提起される前の段階においては,被疑者が逮捕・勾留により身柄を拘束されている場合には,早期の釈放を目標とし,また,不起訴処分など被疑者に有利な結果を獲得することを目標とします。
公訴を提起された後の段階においては,弁護人は,被告人の利益のために,刑罰が不当に重くならないようにしたり,無罪判決・執行猶予付き判決を求めたりするなどの弁護活動を行います。また、身柄の開放のために保釈の請求をする場合もあります。
3 捜査
捜査とは,捜査機関が犯罪があると思料するときに,公訴の提起および維持のため,犯人を発見・確保し,証拠を収集・保全する手続です(189条2項)。
被害者の被害届・告訴や職務質問などをきっかけに事件の発生を認知した捜査機関は,当該事件に関する資料を収集するとともに,被疑者を特定し,場合によっては逮捕・勾留します。
被疑者が逃亡したり証拠を隠滅したりすれば,捜査の目的を達成することができなくなる場合がありますので,一定の場合に逮捕・勾留が認められています。
逮捕も勾留も人の身体の自由という重大な権利を制約するものですので,憲法や刑事訴訟法が定める厳格な要件のもとに認められます。
例えば,通常逮捕では,原則として,被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があり,逮捕の必要がある場合に,裁判所が逮捕状を発し,捜査機関が被疑者に逮捕状を呈示してから逮捕しなければなりません。
被疑者の勾留は,勾留の理由と必要があり,勾留状の発付がある場合に認められます。勾留の理由は,①被疑者が定まった住居を有しない,②被疑者が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由がある,③被疑者が逃亡し,または逃亡すると疑うに足りる相当な理由がある,のいずれかが原則として必要となります。
弁護人は,被疑者・被告人と立会人なく接見し,書類・物の授受をすることができます(39条)。逮捕・勾留されている被疑者・被告人は外界と遮断されていますので,弁護人と接見して刑事手続について説明を受けたり、アドバイスを受けたりできることは重要な権利です。
逮捕勾留された方には,憲法上,弁護人を依頼する権利が認められています。相談できる弁護士がいれば,警察の人に頼んでその弁護士に連絡してもらうことになります。相談できる弁護士に心当たりがない方には,弁護士会が導入している当番弁護士という制度がおすすめです。逮捕勾留された場合に当番弁護士を要請すると,弁護士会に登録している弁護士が留置場まで一回無料で接見に来てくれてアドバイスをしてもらえる制度です。
ちなみに,弁護人は平日の夜や土日でも立会人なく接見をすることができますが,ご家族や知人の方は平日の日中に立会人付でしか接見をすることができません(接見禁止の決定がある場合には接見できません。被疑者が検察庁や裁判所に行っていて留置場にいない場合もありますので、接見に行く前に事前に警察署の留置係に確認しておくとよいです。)。
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