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相続の流れ


​ 相続とは、人が死亡したときに、その人の財産に属した一切の権利義務を承継させることをいいます。相続される人のことを被相続人といい、相続する人のことを相続人といいます。


 被相続人の権利義務を誰にどのような形で承継させるかについては、被相続人が作成した遺言がある場合には、基本的には遺言により遺産承継の方法などが決められ、遺言がない場合には、民法に定められた手続に従って決められます(遺言による場合にも遺留分による制限があります。)。


 したがって、被相続人が亡くなった場合、まずは被相続人が遺言書を作成してるか探してみる必要があります。公正証書遺言を作成している場合には、公証役場に行って被相続人が公正証書遺言を作成しているか検索してもらい遺言を発見することができます。自筆証書遺言の場合には、家の中を探したり、被相続人が遺言書を預けていそうな人に聞いてみるなどしてみる必要があります。


 ①被相続人が死亡すると相続が開始され、相続人は、被相続人の財産上の権利義務を承継します。不在者は失踪の宣告がなされると死亡したものとみなされます。


 ②相続人が複数いる場合(「共同相続」といいます。相続人が1人の場合は「単独相続」といいます。)、相続人間で法定相続の割合で遺産を共有する状態になります。


 ③相続人は相続を承認・放棄することができ、相続財産が債務超過の場合には、相続放棄をすることがあります。被相続人の債務超過などで相続放棄を選択する場合には、相続の開始があったことを知った時から3か月以内にしなければなりませんのでご注意ください。


 ④遺産共有は相続財産が各相続人に暫定的に帰属している状態にすぎず、相続財産を構成する個々の権利義務を各相続人に終局的に帰属させるためには、遺産共有状態の解消の手続が必要となります。その手続を「遺産分割」といい、まずは相続人間で協議し、協議がまとまらなければ、裁判所に対して調停や審判を申し立てることとなります。


 ⑤遺産分割の手続を経て、相続財産の各相続人の具体的取得部分が確定します。なお、相続について相続税の納付が必要となる場合、相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内に申告書を提出する必要がありますのでご注意ください。


 被相続人の配偶者は常に相続人となります。被相続人と一定の血族関係にある者(血族相続人)も相続人となりますが、以下のような順位があります。先順位の者がいない場合に後順位の者が相続人となります。胎児は相続については既に生まれたものとみなされます。養子も縁組の日から養親の嫡出子としての身分を取得しますので、実子と同様に相続人になります(相続税の基礎控除額を計算する場合に勘案される養子の数には制限があります。)。

 第1順位は、被相続人の子です。

 第2順位は、直系尊属(父母や祖父母など)です。

 第3順位は、兄弟姉妹です。

 子や兄弟姉妹が被相続人より先に亡くなっていた場合には、その者の子がいればその子が相続します(代襲相続)。例えば、被相続人の子が被相続人より先に亡くなっていた場合に、被相続人の孫がいれば、この孫が代襲相続人として被相続人の財産を相続することになります。


 被相続人の兄弟姉妹が被相続人より先に亡くなっていた場合には、被相続人の甥や姪がいれば、この甥や姪が代襲相続します。子の代襲相続の場合は、孫も亡くなっていれば、さらにその子が代襲相続しますが、兄弟姉妹の代襲相続の場合は、甥や姪の子は代襲相続しません。


 なお、民法891条は、相続人に一定の事情がある場合には相続人となることができないとしています(相続欠格)。不正の利益を得ようとする相続人は許されませんから、相続権を剥奪して制裁を加えるものです。例えば、相続人が被相続人を故意に死亡するに至らせ刑に処せられた場合には、相続人は相続人となることができません。また、相続に関する被相続人の遺言書を偽造・変造・破棄・隠匿した場合にも、相続人は相続人となることができません。


 相続権を当然に剥奪する相続欠格に該当する事由がない場合でも、被相続人に対する虐待や重大な侮辱などがある場合には、被相続人は家庭裁判所に対して推定相続人の廃除を請求することができます。遺言で廃除の意思表示が表示された場合には、遺言執行者が相続人の廃除を家庭裁判所に請求しなければなりません。


 誰が法定相続人なのか明らかにするためには、被相続人の出生から死亡までの全ての戸籍や相続人の現在の戸籍などを取り寄せて内容を確認するなどします。


 相続財産は被相続人の死亡とともに直ちに相続人に承継されますが、私的自治の原則の下では、権利義務の承継を強制すべきでなく、相続人の意思も尊重されるべきです。


​ そこで、相続人は原則として相続開始を知った時から3カ月以内に相続を承認・放棄することができます。特に、被相続人が多額の債務を負担し、債務超過の状態にある場合などには相続放棄が問題となります。


 相続人は、被相続人の財産上の権利義務を承継します。もっとも、被相続人の一身に専属した権利義務などについては除かれます。


 相続人が複数存在する場合(共同相続)、相続人は法定相続分に応じて遺産を共有することになります。どの財産が誰のものになるかを確定し、相続人が遺産を共有している状態を解消するのが遺産分割です。


 共同相続人の相続財産に対する持分のことを相続分といいます。被相続人は、相続分を遺言で指定することができます。相続分の指定がない場合には、民法の定める相続分(法定相続分といいます。)が適用されます。例えば、配偶者と子が相続人となる場合の法定相続分は配偶者が2分の1、子が2分の1となります。遺産分割では常に法定相続分どおりに分割されるわけではなく、特別受益や寄与分による修正がなされることもあります。


​ 相続の当事者になることは人生で何度もあることではありませんので、一般の方々にとっては馴染みが薄いことかと思います。また、相続について争いが生じた場合には、争点が多岐にわたったり、利害関係が複雑化することが多くあり、家庭裁判所での調停・審判となってしまうなどして紛争が長期化するケースも珍しくありませんので、お早めに弁護士にご相談されることをお勧めします。遺言書の作成についても、遺言は作成方法が民法で定められており、お一人で遺言書を作成される場合、法律で定められた遺言の方式に違反し、折角の遺言が無効になってしまうリスクがありますので、遺言書の作成の際には事前に弁護士にご相談ください。

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