本記事では、令和法律事務所の弁護士が、答弁書の基本的な構成や書き方、注意点について詳しく解説します。
答弁書の書き方:目次
1. 答弁書の目的と重要性
答弁書とは、訴状や申立書などの主張に対して反論を行う書面です。被告側にとっては、訴訟などの法的手続において、相手方の主張に反論して自分の立場を主張するために重要な役割を果たします。
答弁書に被告側が的確な反論を記載することで、裁判所は原告側と被告側の双方の言い分を理解し、適切な判断を下すことが可能になります。答弁書が不十分であったり、提出期限を守らなかった場合、被告側は法的手続において不利益を被る可能性があります。
したがいまして、被告側にとって、正確で説得力のある答弁書を作成することは非常に重要です。答弁書の書き方がよくわからなければ、弁護士に相談することをお勧めします。
2. 答弁書の基本構成
答弁書は一般的に以下の構成で作成されます。
2.1. 事件の表示
事件番号、事件名、当事者の氏名または名称を答弁書の最上部に記載します。
2.2. 表題
文書の標題としては「答弁書」と明記します。
2.3. 作成日付・裁判所の表示
答弁書を作成した日や提出する日の年月日を記載します。答弁書を提出する裁判所を記載します。
2.4. 作成者の表示
答弁書を作成した当事者や代理人の氏名または名称や住所などを明記します。氏名の横に押印もします。
2.5. 請求の趣旨に対する答弁
管轄違いの抗弁などの本案前の答弁と「原告の請求を棄却する」などとする本案の答弁などがあります。
2.6. 請求の原因に対する認否
訴状で述べられた事実について、認める部分と否認する部分を明確にします。認否の具体的な記載方法としては、「認める」、「否認する」、「不知」(事実の存否がわからない場合)、「争う」(法律上の主張を争う場合)の4種類があります。具体的な事実に対して、それぞれの認否を的確に記述することが重要です。相手方の主張する事実を「認める」とすると、当該事実が裁判官の判断の前提となる可能性がありますので、「認める」とするかどうかは慎重に判断する必要があります。
2.7. 被告の主張
訴状の相手方の主張に対して事実上・法律上の反論を記載します。ここでは、訴状の具体的な主張に対して、詳細な反論を行います。とくに相手方の主張する事実を否定する場合や相手方が主張していない被告側に有利な事実や法律を持ち出す場合には詳細に記載します。記載する被告の主張は、証拠や具体的な事実に基づいたものであることが求められます。
2.8. 結論
答弁書の最後に、求める判決や結論を簡潔に記載します。たとえば、「よって、原告の主張は理由がなく、請求は棄却されるべきである」といったものです。
2.9. 証拠方法・附属書類
必要に応じて、被告側の主張の根拠となる証拠資料を添付します。契約書や領収書、メールのやり取り、事件に関連する文書など様々なものが考えられます。
3. 答弁書作成の手順
3.1. 訴状の読み込み
まず、原告が提出した訴状をしっかりと読み込み、原告の主張を確認しましょう。答弁書を作成する前に、訴状に記載されている主張や事実関係を正確に把握しなければ説得力のある答弁書は作成できません。訴状を読み込み、訴状に記載されている主張や事実関係を踏まえた上で答弁書で十分に反論することが重要です。
3.2. 事実関係の整理
訴状の記載を読み込み、訴状に記載されている事実のうち、認める事実、否認する事実を正確に整理します。上記の請求の原因に対する認否の部分に関係します。訴状には記載されていない事実についても整理します。訴状には原告に不都合な事実が記載されていない場合もあります。事実関係の整理は、時系列などに沿って整理すると分かりやすくなります。
3.3. 法的根拠の調査
自分の主張を支える法律や判例などの法的根拠について調査します。必要に応じて、弁護士などの法律の専門家に相談することも検討しましょう。
3.4. 答弁書のドラフト作成
答弁書の基本的な構成を決めて、その構成に従ってまずはドラフトを作成します。初めのうちは自由に書き進め、後で内容を精査するスタイルが効果的です。
3.5. 内容の読み返し・修正
ドラフトを何度も読み返し、事実関係の誤りや論理の矛盾や誤字・脱字などを修正します。時間を置いて何度も読み返すことで修正すべき点に気づくこともあります。弁護士などの専門家に答弁書の内容を確認してもらうことも検討しましょう。
3.6. 提出準備
最終的なチェックを行った後、正式な答弁書の形式に整え、提出期限内に裁判所に提出します。
4. 答弁書作成の際の注意点
4.1. 作成スケジュールに十分な余裕を持つ
答弁書には提出期限がありますので期限内に提出するように注意しましょう。充実した答弁書を作成するには、ある程度の時間を要しますので、ゆとりを持ったスケジュールで答弁書を作成することが重要です。訴状を読み込んでいると憂鬱な気持ちになることもあるかと思いますが、答弁書の提出期限はすぐに迫ってきますので作業を早めに進めましょう。
4.2. わかりやすい表現を使う
答弁書には主張がわかりやすく明快に表現されていることが求められます。読みやすい文章や構成にすることで説得的な答弁書になります。難しい言葉を使わず分かりやすい表現で答弁書を作成しましょう。また、自分の主張に矛盾が生じないよう、全体の流れも確認しましょう。
4.3. 感情的な表現を控える
訴状や申立書を読んで感情的になってしまう方もいますが、答弁書では感情的な表現は避け、事実や証拠に基づいた主張を心がけましょう。裁判官は事実や証拠に基づいて判断を下しますので感情的な表現はあまり意味がありません。
4.4. 具体的な根拠の提示
答弁書には、立証を要する事由につき、重要な書証の写しを添付しなければなりません。自分の主張を裏付ける具体的な証拠を証拠として答弁書の適切な箇所に提示し、主張と証拠の関係を明示することが重要です。主張の具体的な根拠を答弁書に提示することで、被告側の主張の信頼性が増します。
5. 答弁書の書き方のまとめ
答弁書は、訴訟や調停などの法的手続において被告側にとって非常に重要な役割を果たします。被告側が自分の主張を正確に詳細に裁判官や相手方に伝えるためには、十分に準備をして計画的に作成することが必要です。答弁書を作成する前には事実関係や法的根拠を十分に整理し、それに基づいて相手方の主張に対して的確に反論できる内容の答弁書を作成することが求められます。
適切な答弁書の作成によって、自分の立場を法的手続において有利なものとし、裁判所における公正な判断を促すことができます。答弁書の作成の際には、ぜひ弁護士にご相談ください。
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