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本記事では、令和法律事務所の弁護士が、東京地方裁判所の個人の方の自己破産申立ての場合の自己破産の管財手続と同時廃止についてご説明します。
目次
自己破産の管財手続とは
自己破産事件の管財手続とは、破産手続において裁判所が破産管財人(弁護士)を選任して手続を進めることです。
具体的には、破産管財人は、債権者の利益を代表して、破産者の財産状況の調査、破産者の財産をの管理処分、債権者に対する配当などを行います。
自己破産事件が管財手続となった場合、破産者は、破産管財人に対して次のような義務などを負います。
第一に、破産者は、破産に関する必要な説明を行わなければなりません。
第二に、破産者は、破産者の有する重要な財産を開示しなければなりません。
第三に、破産者は、破産管財人の免責の調査に協力しなければなりません。
破産手続の目的は、破産者と債権者との間の権利関係および利害関係者の利害を適切に調整し、破産者の財産などの適正かつ公平な清算を図ることです。
したがいまして、破産手続では管財手続が原則となります。
東京地方裁判所で自己破産事件が管財手続になった場合、弁護士費用や申立手数料の他に、最低20万円の予納金を納める必要があります。
また、法テラスは、原則としてこの最低20万円の予納金については立替えを行っていません。
自己破産の同時廃止とは
自己破産事件の同時廃止とは、自己破産手続の開始決定と同時に破産手続の廃止決定をすることです。
同時廃止とされることで、破産手続は直ちに終了します。
同時廃止の場合、管財手続で必要とされる最低20万円の予納金は不要となります。
したがいまして、破産者にとっては、自己破産の管財手続と同時廃止の振分けが非常に重要になります。
自己破産手続は、破産者の財産を換価して債権者に分配するなどして破産者の財産を清算する手続です。
破産者の債務の支払義務を免除する免責手続と破産手続は別個の手続ですから、同時廃止とされても破産手続とは別に免責手続は行われます。
裁判所は、破産財団をもって破産手続の費用を支弁するのに不足すると認めるときは同時廃止とします。
具体的には、破産手続開始の決定と同時に、破産手続廃止の決定をしなければならないとされています。
自己破産事件が同時廃止となるのは、破産財団をもって破産手続の費用を支弁するのに不足すると認められるときです。
したがいまして、自己破産の管財手続と同時廃止では、管財手続が原則なのに対して、同時廃止は例外的に認められるにすぎません。
破産財団とは、破産者が破産手続開始の時において有する一切の財産産であって、破産手続において破産管財人にその管理及び処分をする権利が専属するもののことです。
ただし、破産財団には、99万円以下の現金や差押禁止財産などは入りません。
自己破産の管財手続と同時廃止の振分け
東京地方裁判所の個人の自己破産の申立ての場合は、破産者の申立代理人の弁護士が裁判官と面接を行います。
この面接は、即日面接といわれています。
即日面接では、自己破産事件を管財手続とするか同時廃止とするかの自己破産の管財手続と同時廃止の振分けなどが決定されます。
破産者が33万円以上の現金や20万円以上の換価対象資産を有しない場合には、破産財団をもって破産手続の費用を支弁するのに不足すると認められ、同時廃止となる可能性があります。
換価対象資産は、破産者の有する資産ごとの合計額が20万円以上になるかで判断されます。
たとえば、預貯金が15万円あり、保険の解約返戻金が10万円ある場合を考えてみます。
この場合、合計すると20万円以上の破産者の有する換価対象資産がありますが、資産ごとにみると20万円を超えていません。
したがいまして、この場合は、自己破産の管財手続と同時廃止のうち、同時廃止になる可能性があります。
33万円以上の現金を有している場合や20万円以上の換価対象資産がある場合であることが明らかでないときには、破産管財人による破産者の資産調査が必要となり管財事件となります。
また、破産者が現在または過去に個人事業主であった場合にも、財産状況の把握が困難であることが多いことから、原則として管財事件となります。
さらに、免責不許可事由の存在が明らかでその程度も軽微といえない場合にも、破産管財人の調査が必要となり管財事件となります。
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