本記事では、令和法律事務所の弁護士が「離婚調停」の基本や手続などについて詳しく解説し、円滑に離婚調停を進めるためのアドバイスを提供することを目的としています。
相手方との間で協議離婚が成立しなかった場合には、家庭裁判所の離婚調停手続を利用して離婚を成立させる場合があります。
離婚は家庭内の問題であり、当事者間の実情に即した話合いの手続による解決が望ましいと考えられており、離婚調停もその一つです。
したがいまして、離婚調停を飛ばしていきなり離婚訴訟を提起することは原則としてできず、まずは離婚調停の申立てをすることとなっています(調停前置主義といいます。)。
離婚調停は、基本的には、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所に申立てをする必要があります。
離婚調停では、調停委員会の下で話合いをすることで、離婚に関する合意の成立を目指します。
調停委員会は、裁判官1名と民間から選ばれた調停委員2名(男女1名ずつです。)で組織されており離婚調停の手続を行います。
訴訟の手続は、原則として公開の法廷で行われ、傍聴人が見守る中で訴訟期日が進行しますが、離婚調停の場合は、家庭裁判所内の調停室という数人しか入れないような小さな部屋で手続が進められます。
これによって、離婚調停では、当事者のプライバシーが守られることとなります。
離婚調停の1回の期日は、長くても2時間程度であり、基本的には、申立人側と相手方側とが2、30分ずつ交代で調停室に入ります。
離婚調停の当事者が交代で調停室に入り、それぞれが調停委員と話すこととなります(裁判官は通常は調停室にいません。)。
申立人側と相手方側とは、家庭裁判所内の待合室も別々にあります。
離婚調停の期日は、1か月程度の間隔をおいて各調停期日が開かれます。
1度きりの調停期日で終わることもあれば、長ければ何年にもわたり調停期日を重ねる場合もあります。
直接相手方と離婚の話し合いをするのとは異なり、離婚調停の場合は、家庭裁判所の調停委員が相手方との間に立って手続を進行してくれますので、相手方と直接向き合うストレスはありません。
また、離婚調停が成立した場合には、家庭裁判所が離婚に関する取り決めを文書にした調停調書を作成してくれます。
これにより、取り決めに関する書面を作成をしないで協議離婚をした場合よりも、後日トラブルになるおそれは少ないといえます。
離婚調停の申立書は、裁判所のウェブサイトからダウンロードできます。
したがいまして、弁護士に依頼せず、離婚調停の申立書をご自身で作成し、調停期日にもご自身のみで出席して手続を進めていくということも可能かと思われます。
しかし、争点が多岐にわたる複雑な離婚事件の場合や、ご自身のみでの調停手続を進めていくことに不安を感じる方は、ぜひ弁護士にご相談ください。
