ギャンブル・浪費が原因でも自己破産できる?免責不許可事由と裁量免責を弁護士が解説|江戸川区・葛飾区

ギャンブル・浪費が原因でも自己破産を申し立てることはできる?
「パチンコや競馬で借金をしたけれど、自己破産できる?」
「ホストや推し活、ソシャゲへの課金などで借金が増えた場合、自己破産はできる?」
「ギャンブルが原因だと、借金が免除されないの?」
このように、ギャンブルや浪費が原因で借金を抱えてしまい、自己破産を検討している方も少なくありません。
ギャンブルや浪費が原因の借金でも、自己破産を申し立てることはできます。
ただし、ギャンブルや浪費によって著しく財産を減少させたり、過大な債務を負担したりした場合は、破産法上の「免責不許可事由」に該当する可能性があります。
もっとも、免責不許可事由があるからといって、必ず借金が免除されないわけではありません。裁判所が事情を考慮して「裁量免責」を認め、免責が許可されることがあります。
そのため、ギャンブルや浪費が原因だからといって、自己破産を最初からあきらめる必要はまったくありません。
この記事では、ギャンブル・浪費による借金と自己破産について、免責不許可事由、裁量免責、管財事件、自己破産を申し立てる前に注意すべきことなどを令和法律事務所の代表弁護士大下聡(東京弁護士会)が解説します。
自己破産そのものについて詳しく知りたい方は、まずこちらの記事もご覧ください。
この記事の要点
ギャンブルや浪費が原因の借金でも、自己破産の申立てはできます。
ギャンブルや浪費によって著しく財産を減少させたり、過大な債務を負担したりした場合は、免責不許可事由に該当する可能性があります。
免責不許可事由があっても、事情によっては裁量免責が認められる場合があります。
ギャンブルや浪費の内容だけなく、借金の金額や期間、財産の状況、申立てに至るまでの事情、その後の対応などを含めて個別に判断されます。
申立て前後にギャンブル・浪費を続けたり、財産を隠したり、借入れを繰り返したりすることは避ける必要があります。
自己破産以外に、個人再生や任意整理などの債務整理が適している場合もあります。
借金問題は、なるべく早い段階で弁護士に相談することが大切です。
ギャンブル・浪費が原因でも自己破産を申し立てることはできる
自己破産は、借金の原因だけを理由に申立てを禁止することはありません。
そのため、パチンコ、競馬、競輪、競艇などのギャンブルによって借金が増えた場合でも、自己破産を申し立てることはできます。
また、高額なブランド品などの購入、高額な飲食・旅行、ホストクラブ、推し活、ソーシャルゲームへの課金など、浪費によって借金が増えた場合も同様です。
ただし、自己破産を申し立てることと、借金の支払義務が免除されることは別の問題です。
自己破産の手続を開始しただけで、借金の支払義務が免除されるわけではありません。原則として、裁判所から免責許可決定を受け、その決定が確定することで、免責の対象となる借金について支払義務がなくなります。
自己破産の具体的な手続の流れについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
ギャンブル・浪費は免責不許可事由になる可能性がある
破産法252条1項には、免責不許可事由が定められています。
その一つとして、浪費や賭博などによって著しく財産を減少させ、または過大な債務を負担したことが挙げられています。
裁判所も、浪費やギャンブルによって借金をした場合には、免責が許可されない場合があると説明しています。
ここで注意したいのは、ギャンブルや浪費が原因の借金は絶対に免責されないという意味ではないことです。
免責不許可事由に該当する場合でも、それだけで必ず免責が認められなくなるわけではありません。
破産者の具体的な事情を踏まえて、「裁量免責」が認められる可能性があります。
免責不許可事由や免責手続について詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
どのような行為が「浪費」や「ギャンブル」に該当する?
「浪費」や「ギャンブル」といっても、実際の事情は人によって異なります。
たとえば、次のような行為が問題となる可能性があります。
パチンコ・パチスロ
パチンコやパチスロを繰り返し、生活費や借入金を使って多額の支出をしていた場合には、免責不許可事由が問題となる可能性があります。
競馬・競輪・競艇
競馬、競輪、競艇などのギャンブルも、「賭博」として免責不許可事由に該当する可能性があります。特に、借金をしてまで賭けていた場合や、負けを取り戻そうとしてさらに借入れを重ねていた場合などは、その金額や頻度、借金に至った経緯などを含めて慎重に検討する必要があります。
FX・暗号資産など
FXや暗号資産への投資についても、取引の内容や資金の使い方、借入れに至った経緯などによっては、破産法252条1項4号の免責不許可事由が問題となる可能性があります。
実際の取引内容、損失の程度、借入れとの関係などを確認する必要があります。
ホストクラブ・高額な交際費
ホストクラブなどで高額な支出を繰り返し、そのために借金が増えた場合には、浪費との関係が問題となる可能性があります。
推し活・ソーシャルゲームへの課金
推し活やソーシャルゲームへの課金も、金額や頻度、借金との関係などによっては浪費と評価される可能性があります。
重要なのは、支出の名称だけではなく、具体的な金額、期間、頻度、借金との関係などを含めて個別に検討することです。
免責不許可事由があっても「裁量免責」が認められることがある
ギャンブルや浪費が免責不許可事由に該当する可能性がある場合でも、必ず借金が免除されなくなるわけではありません。
破産法252条2項では、免責不許可事由のいずれかに該当する場合であっても、裁判所は、破産手続開始の決定に至った経緯その他一切の事情を考慮して免責を許可することが相当であると認めるときは、免責許可の決定をすることができると定められています。
これが「裁量免責」です。
したがって、ギャンブルや浪費が原因で借金をした場合には、ギャンブルが原因だから絶対に自己破産できないと考えるのではなく、免責不許可事由があるか、そのうえで裁量免責が認められる可能性があるかという検討をすることが重要です。
裁量免責で考慮される事情
裁量免責が認められるかどうかは、個々の事案によって異なります。
たとえば、
ギャンブルや浪費の具体的な内容
支出した金額・期間
借金をした時期や金額
借金の総額
現在もギャンブルや浪費を続けているか
反省や生活改善の状況
裁判所や破産管財人の調査に適切に協力しているか
など、さまざまな事情が問題となります。
免責が許可されるかどうかは、免責不許可事由に該当する行為の内容や程度に加え、その後の対応や現在の生活状況、破産手続への協力状況など、個別の事情を踏まえて判断されます。
そのため、「ギャンブルや浪費をしていたから絶対免責されない」などと一律に判断することはできません。
ギャンブル・浪費が原因の場合、管財事件になることがある
自己破産には、大きく分けて「同時廃止事件」と「管財事件」の2つの手続があります。
東京地方裁判所では、破産者の財産や免責についての調査が必要な場合など、一定の事情がある場合には管財事件として取り扱われることがあります。
ギャンブルや浪費が免責不許可事由に該当する可能性があり、免責に関する調査が必要となる場合には、管財事件として手続が進められることがあります。
同時廃止事件とは
同時廃止事件は、破産手続開始決定と同時に破産手続を廃止し、破産管財人を選任せずに手続を進めるものです。
破産者に換価・配当の対象となる財産がほとんどなく、破産管財人による財産の調査や換価・配当などを行う必要がないと裁判所が判断した場合に、同時廃止となることがあります。
管財事件とは
管財事件では、裁判所から破産管財人が選任されて手続が進行します。
破産管財人が、
財産の調査
借金の内容の調査
免責不許可事由の有無の調査
財産の換価
債権者への配当
免責に関する調査
などを行います。
ギャンブルや浪費が問題となるケースでは、こうした調査を通じて、免責に関する事情が調査されることがあります。破産法250条2項には、破産者は破産管財人の免責についての調査に協力する義務があると定められています。
自己破産の流れについて、申立てから免責まで詳しく確認したい方は、以下の記事もご覧ください。
東京地裁の管財事件では予納金が必要になる
管財事件では、破産管財人の費用などを裁判所に予納する必要があります。
東京地方裁判所の現在の案内では、個人の管財事件について、官報公告費用に加えて最低20万円の予納金が必要とされています。
ただし、これは裁判所に納める予納金であり、その他に弁護士費用その他の実費が必要となります。
また、事案によって必要となる費用が異なる場合があります。
自己破産にかかる費用については、こちらの記事で詳しく解説しています。
自己破産を申し立てる前にギャンブルを続けるのは避ける
ギャンブルや浪費が原因で自己破産を検討している場合、申立て前の行動も重要です。
たとえば、
新たに借金をしてギャンブルを続ける
クレジットカードで浪費を続ける
財産を隠す
特定の債権者だけに返済する
事実と異なる説明をする
といった行為は避けなければなりません。
特に、自己破産を考えているにもかかわらず、新たな借入れを繰り返すことは、手続上の問題につながる可能性があります。
借金を隠さない
自己破産では、借金や財産について正確に申告することが重要です。
知られたくない借金や特定のカードによる借金だけを申告しないことは避けなければなりません。債権者を故意に隠したり、債権者一覧表などに虚偽の記載をしたりする行為は、破産法252条1項7号の免責不許可事由に該当する可能性があります。
裁判所に対して正確な情報を提出することが、自己破産手続を適切に進めるための基本です。
財産を隠したり処分したりしない
自己破産を申し立てる前に、預貯金や保険、有価証券、車、不動産などの財産を隠したり、他人名義に移したりすることも避ける必要があります。
財産について不安がある場合には、自分の判断で処分するのではなく、事前に弁護士へ相談してください。
ギャンブルをやめられない場合も早めに相談する
「自己破産したいけれど、ギャンブルを完全にやめられる自信がない」
という方もいるかもしれません。
ギャンブルによる借金問題では、借金そのものだけでなく、今後同じことを繰り返さないための生活の改善も重要です。
自己破産の手続を進める場合にも、現在のギャンブルの状況や家計の状況を弁護士に正直に伝えることが大切です。
ギャンブルをしていたことを隠すのではなく、
いつからどんなギャンブルをしているのか
どの程度の金額を使ったのか
借金をしてまで続けていたのか
現在も続けているのか
今後どのように家計を改善するのか
などを整理しましょう。
過去に自己破産したことがある場合はどうなる?
過去に自己破産をして免責を受けたことがある場合には、再度の自己破産について注意が必要です。
破産法では、過去に免責許可決定などを受けた人が、その確定から7年以内に再び免責許可の申立てをする場合について、免責不許可事由が定められています。
裁判所も、過去7年以内に免責を受けている場合を、免責不許可事由の一つとして説明しています。
過去に自己破産をしたことがある場合でも、過去の自己破産だけを理由に今回の申立てについて一律に判断されるわけではありません。過去の免責許可決定が確定した時期、今回の借金が発生した経緯、現在の生活状況や破産手続への対応など、個別の事情を踏まえて検討する必要があります。
ギャンブルが原因の借金と、免責されない債権
注意したいのが、「ギャンブルや浪費が原因だから免責されない」という問題と、「法律上、免責の対象にならない債権」の問題は別だということです。
免責許可決定が確定した場合でも、一定の債権については法律上、免責の効力が及びません。
たとえば、税金などの租税、罰金等、養育費、一定の要件を満たす損害賠償請求権など、破産法253条に定められた一定の債権は、免責の対象となりません。
したがって、自己破産をすればすべての借金や支払義務がなくなるというわけではありません。
どの債務が免責の対象になるのかについても、個別に確認する必要があります。
自己破産以外の方法を検討できる場合もある
ギャンブルや浪費が原因で借金が増えた場合でも、自己破産だけが債務整理の選択肢とは限りません。
借金の金額、収入、財産、今後の返済可能性などによっては、個人再生や任意整理を検討できる場合があります。
個人再生
個人再生は、裁判所に再生計画を認可してもらい、その再生計画に基づいて、減額された借金を原則として分割して返済していく手続です。
自己破産とは異なり、原則として借金を全額免除してもらう手続ではありません。
一方で、住宅ローンを返済しながら持ち家を残したい場合には、住宅ローン特則などの要件を満たすことで、住宅を維持しながら個人再生を利用できる可能性があります。
ギャンブルや浪費が原因で借金を負った場合でも、それだけを理由に個人再生を利用できなくなるわけではありません。
任意整理
任意整理は、裁判所を利用せず、弁護士などが債権者と返済条件について交渉する方法です。
一般的には、将来利息などの負担を軽減しながら、分割払いで返済していくことを目指します。
ただし、任意整理では自己破産のように借金そのものを免除してもらうわけではなく、返済を続けていかなければなりません。
そのため、現在の収入から無理なく返済できるかどうかを検討する必要があります。
ギャンブルが原因でも自己破産をあきらめる必要はない
ギャンブルや浪費が原因で借金が増えてしまった場合、
「自分が悪いから自己破産はできない」
「ギャンブルが原因なら借金は免除されない」
と考えて、弁護士への相談すること自体をためらってしまう方もいます。
しかし、ギャンブルや浪費が原因であっても、自己破産を申し立てることはできます。
また、免責不許可事由に該当する可能性がある場合でも、事情によっては裁量免責が認められることがあります。
重要なことは、現在の借金や財産、ギャンブル・浪費の状況をまずは整理し、今後の生活をどう立て直していくかを含めて検討することです。
「自分の場合は自己破産できるのか」「免責が認められる可能性があるのか」と悩んでいる場合には、早めに弁護士へ相談することをおすすめします。
よくある質問
ギャンブルが原因の借金でも自己破産できますか?
はい。ギャンブルが原因の借金でも、自己破産を申し立てることはできます。
ただし、ギャンブルによって著しく財産を減少させたり、過大な債務を負担したりした場合には、免責不許可事由に該当する可能性があります。
その場合でも、事情によって裁量免責が認められることがあります。
パチンコで作った借金は免責されますか?
パチンコによる借金については、免責不許可事由が問題となる可能性があります。
ただし、パチンコが原因であることだけで、必ず免責されないと決まっているわけではありません。
免責が許可されるかどうかは、パチンコに費やした金額や期間、借金の状況、現在の生活状況、破産手続への協力状況など、さまざまな事情を踏まえて個別に判断されます。
浪費が原因でも自己破産できますか?
浪費が原因の借金でも自己破産を申し立てることはできます。
浪費によって著しく財産を減少させたり、過大な債務を負担した場合には、免責不許可事由に該当する場合があります。ただし、事情によっては裁量免責が認められる可能性があります。
裁量免責が認められる確率はどのくらいですか?
裁量免責が認められる確率について、一律に「何%」と判断できるものではありません。
ギャンブルや浪費の内容・金額・期間、借金の金額・期間、現在の生活状況、申立てに至る経緯、経済的再生に向けた取り組み、裁判所や破産管財人への対応など、個別の事情によって異なります。
そのため、破産者の具体的な事情を確認せずに裁量免責の可能性を判断することはできません。
ギャンブル・浪費を続けていても自己破産できますか?
ギャンブル・浪費を続けている場合には、自己破産を検討するうえで注意が必要です。
特に、自己破産を検討しているにもかかわらず借金をしてギャンブル・浪費を続けることは避ける必要があります。また、どうすればギャンブル・浪費をやめられるか検討しなければなりません。
現在もギャンブル・浪費をしている場合には、その事実を隠さず弁護士に相談してください。
自己破産を申し立てる前に新たに借金をしてしまいました。大丈夫ですか?
新たな借入れの時期や理由、借入額、返済状況などによって事情が異なります。
すでに借入れをしてしまった場合でも、まずは事実を整理して正直に弁護士に相談してください。
借入れを隠したり、事実と異なる説明をしたりすることは避ける必要があります。
過去に自己破産した場合、再度自己破産できますか?
過去の自己破産・免責からの期間などによっては、免責不許可事由が問題になる場合があります。破産法では、免責許可の決定が確定した日から7年以内に、再び免責許可の申立てをしたことが、免責不許可事由の一つとされています。ただし、事情によっては裁量免責が認められる可能性があります。
過去に自己破産をしたことがある場合には、前回の手続の時期や免責許可決定の確定時期などを確認したうえで、今回の手続について検討する必要があります。
自己破産と個人再生のどちらがよいですか?
どちらが適しているかは、借金の金額・経緯、収入、財産、住宅ローンの有無、生活状況、今後の返済可能性などによって異なります。
自己破産は、原則として免責の対象となる借金の支払義務を免除してもらうことを目指す手続です。
一方、個人再生は、一定額を返済することで残りの借金を減額する手続です。
自宅を残したいなどの事情がある場合には、個人再生を検討することもあります。
任意整理ならギャンブルや浪費が原因でも利用できますか?
ギャンブルや浪費が原因であることだけを理由に、任意整理ができなくなるわけではありません。
ただし、任意整理は、原則として残った借金を分割して返済していく必要がある債務整理です。
したがって、現在の収入で無理なく継続して返済できるかどうかを確認することが重要です。
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ご相談をご希望の方は、事前にご予約ください。
お電話・メールでは法律相談は承っておりません。
ご相談をご希望の方は、ご予約のうえご来所ください。
まとめ
ギャンブルや浪費が原因の借金でも、自己破産を申し立てることはできます。
一方で、ギャンブルや浪費によって著しく財産を減少させたり、過大な債務を負担したりした場合には、免責不許可事由に該当する可能性があります。
ただし、免責不許可事由がある場合でも、事情によっては裁量免責が認められることがあります。
そのため、ギャンブルや浪費が原因だから自己破産できないと単純に決めつける必要はありません。
ギャンブルや浪費の内容、借金の金額、現在の生活状況、財産の状況などを整理したうえで、自己破産、個人再生、任意整理など、自分の状況に合った債務整理の方法を検討することが重要です。
借金の返済が難しくなっている場合は、一人で抱え込まず、早めに弁護士へご相談ください。


